分子情報をベースに、香りや大気の状態を把握するシステムの開発に取り組んでいます。

匂いを計測する薄膜とは?


 薄膜(「はくまく」とよびます)はどの程度の薄さのものをいうのでしょうか。特に、はっきりした定義はなく、二次元的な拡がりに対して、厚みが極端に小さいといった、あいまいな言い方しかできない状況です。


また、形状も平坦なモノに限らず、丸めて筒状になったものや、下地の厚い基板の上に形成されたモノ、所々に孔があるモノ、重ねて多層に成ったモノ、などいろいろタイプがあります。

身近な薄膜技術1 有機ELディスプレイ


 薄膜は文字通り「薄い」「膜」であり、我々の身の回りでたくさん使われています。例えば、有機ELディスプレイがあげられます。これは赤・青・緑の原色を発光させる微小な画素(ピクセルともよばれ、0.1mm以下のサイズ)を多数列べ、画像を作成するものです。画素を構成する微小発光素子は複数の薄膜(層)から構成されています。透明封止層が最上部にあり、電極や発光有機層も薄膜で構成されています。このような出力機能とは逆の入力機能のある、タッチパネルは圧力センサが組み込まれており、ICTモバイルの主要なパーツを構成しています。



身近な薄膜技術2 ソーラーパネル(太陽電池)

 ソーラーパネル(太陽光発電パネル)でも、光半導体を薄膜化(光電変換膜に)して構成されています。太陽光により、電子とホールに電荷分離させたキャリアを集めて蓄電することになります。太陽光を通すため、透明の保護膜や電極などが利用され屋外の過酷な環境で安定して機能するよう薄膜材料には耐久性も求められます。

身近な薄膜技術3 食品梱包袋

 食品用の梱包材も薄膜が多層に組合わさって構成されています。食品を劣化させる要因に熱、光、酸素、水蒸気などがあります。これらの刺激から内部の食品を守るように、刺激に応じた薄膜を重ねて袋が構成されています。

で、この薄膜を・・人の嗅覚の機能を担うものを開発することを目指した研究を杉本研では展開しています。
真空を利用したドライ法により生体材料から作製した香り分子の吸着性に優れた薄膜(吸着膜)を用いて、
その膜構造とガス吸着力との関連性を明らかにしたい。
またどんな構造の膜が良く吸着するか明らかにしたい。この問いせまろうとしています。

薄膜づくりの詳しい研究のご紹介は 専門家用のコラムをご覧ください。